心はいつもAirPucci (空元気でもいいから)

毎日がPucciを着ているような気分

この20年間欠如していたもの

   


2010年4月12日日本武道館に於ける東京大学大学院入学式での祝辞。 小林久志氏

ブログを色々見ていて、本日心に残ったのがこちらのページです。
小林久志氏のご経歴は技術系の教授としてはかなり華麗だと思われます。

東芝勤務を経てプリンストン大学大学院留学、その後の研究活動は

  • ニューヨーク州IBM中央研究所
  • UCLA システム科学科客員助教授 IBM研究所
  • ハワイ大学客員教授
  • スタンフォード大学電気工学科客員教授
  • 西独ダームシュタット工科大学客員教授
  • ベルギー、ブラッセル大学計算科学科国際教授
  • (現IBM東京基礎研究所) 初代研究所長
  • プリンストン大学シャーマン・フェアチャイルド栄誉教授 (電気工学科兼コンピュータ・サイエンス学科)
  • 東京大学先端研客員教授(NEC C&C 講座教授)
  • ドイツ・ダームシュタット工科大学客員教授(フンボルト財団短期訪問プログラム)
  • カナダ・ヴィクトリア大学客員教授 (ブリティッシュ・コロンビア州客員フェロー)
  • 独立法人情報通信研究機構(東京都小金井市)特級研究員(非常勤)

以上抜粋ですが、複数国の有名大学および有力企業で教授、研究をされています。

そのような方が日本の現状について問題提示。
戦後30年で日本が奇跡的な経済産業発展を遂げたにもかかわらず、その後の20年は停滞状況にあり、

  • 世界の先進国の中でも経済成長率が一番低い状態
  • 情報産業、特にソフトウエアなどの分野では米国に大きく差を付けられ
  • 日本が得意であった製造業や素材産業でも台湾、韓国、中国に追い付かれ
  • 或る分野では追い越されている

以上のような状況であること。その理由として、

リーダーシップの欠如』を指摘されています。

グロービスの堀義人氏も、日本に足りないのはリーダーシップだけだとtwitterなどで指摘されており、まったく同感なのですが、なぜリーダーシップが足りないのか?という次なる疑問が湧き上がります。民族性なのでしょうか?教育が足りないだけでしょうか?経済発展し満足しきったため成長欲が薄れたからでしょうか?

小林氏は、

「我が国のリーダー達の多くが、残念ながら力量不足で、今日のグローバルな世界で競争する為に必要な知識、洞察力、英語能力に欠けていることが大きな要因」

と、氏ならではのグローバルで一流な人脈による知見を経ても、一般的に理解されていることを原因として挙げていますが、その背景として、

  • インターネットの拡大と工業製品のデイジタル化
  • 新興工業国(工業品の生産拠点)としてのアジア諸国(中国、マレーシア)やインドの台頭

2つの要因によりパラダイムシフトが起きている。つまり、製品開発、設計、製造から販売までの流れが、20年前とは異なった、グローバル・ビジネス展開になっている。
日本は、生産拠点を海外に移すなどしているものの、生産や雇用調整、コスト管理の都合上にすぎない面がある。

日本の経営陣と彼らのスタッフの中に、国際的に活躍した経験や、諸外国のリーダー達との人的繋がりを持ち、直接コミュニケート出来る人材の少ない

これが

我が国が苦境に立たされている、大きな要因

と、多くの日本人が気づけない、根本的な原因を指摘なさっています。

足りないのは、
”世界がフラット化してしまった新時代の” リーダーシップなのです。

戦後の経済発展を支えたのは、自動車にしろ、電気製品にしろ、
圧倒的な技術力による製品でした。圧倒的な技術力は日本人の勤勉さによるものですが、その奇跡的な高品質は、マーケティングや販売戦略が多少手薄でも、多くの人々に熱狂的に受け入れられるものでした。
シーズ指向、現場からのプロダクトアウトで勝てた時代だったのです。

戦略なきビジネスとマーケティングなき製品開発に加え、品質を追求するあまりの日本独自仕様化。

iPadやKindleが上陸し、電子本の時代がいよいよ来るという今なのに、
「日本独自仕様で電子本の流通をすべき」と多くの人があるフォーラムで語っていました。年齢は60代が多いように見受けられました。

電子本に向けての検討が始まったのは確か1995年頃。もう10年以上も取り組んでいて、まだ成果をだせていないのです。それなのに、こだわりを貫きたいおじさん達。

彼らだって、若い頃は、世界に打って出るチャレンジャーだったでしょう?
その気持ちは今でもあるでしょう。こだわりある製品で、iPadやらKindleやらに勝ちたいでしょう。

でも、勝ちパターンがもう違ってきているのです。
圧倒的な技術力と製品だけでは、勝てない。むしろ高specすぎてtoo muchだったり、機能を追及するあまりtoo lateだったり。
そのことに気づけない悲劇は世代のせいでしょうか?そして、残念なことに若者は数で彼らに負ける。

Appleの利益を3年前の倍にし、利益の半分を誇るiPhoneは、部材は韓国製、生産は中国です。では、ビジョンを生み出し貫き通したのは誰でしょう?(ジョブズです。)
小林久志氏のようなご指摘は戦後30年の経済成長を若い頃に経験した世代には通用しないでしょう。

上の世代は、時代が変わっているのに彼らの青春で生きつづける。ならば無視して、私たちは自分たちで世界に打ってでる。ビジョンを生み出し貫きとおせる人がいればいい。時代は変わってしまっている。

 - Thinking , , ,

Comment

  1. ともちん より:

    東京大学大学院入学式での祝辞: 2010年4月12日日本武道館に於ける東京大学大学院入学式での祝辞。 小林久志氏
    ブログを色々見ていて、本日心に残ったのがこちらのページです。
    小林久志氏のご経歴は技術系の教授としてはかなり華麗… http://bit.ly/97HnyH

  2. […] かにしのぐ、方法、発想、行動力、エネルギー。間違いなく、”世界がフラット化してしまった新時代の” リーダーシップを持つ数少ない人ですし、それがどう育まれるのか教えてく […]

  3. […] からと憶測が飛んでいたのをソフトバンクからにひっくり返した孫さん。ジョブスのような海外の要人とダイレクトコンタクトができるのもフラット化した時代のリーダーに必要な能力。 […]

  4. […] ・日本はもう成熟国になった。かつてのような大きな成長は望めない。それは他の西側先進国もおそらく同様だ。 ・日本の成長を支えたものづくりは熟練した職人工にあったのは事実。それは手先が器用でまじめな日本人の特性であり、他の国に対する大きな差別化ポイントだと思っていたけど、そうではなかった。日本人だろうと何人だろうと、人はまじめに取り組めば技能を習熟していくものだ。フラット化してしまった世界の中でモノ作りで暮らすには、技以外のプラスαが必要なのだろう。 ・GDP(≒国内でのモノの生産や消費)が伸びないからといって不幸なわけではない。むしろモノもインフラも既に充足していて幸せに感じる(少なくとも大きな不便は感じない)のは成熟国家ならでは。 ・一方で、高度経済成長期の日本がそうであったように、中国やインドのようなGDP成長国を見ていると、彼らの消費は先進国として生きるための消費に見える。そう、マズローの要求レベル2のレイヤーにいる人達のようだ。洗濯機、冷蔵庫、エアコン、携帯、車、人よりも美しく着飾るモノを彼らは欲している。成熟国に住む私たちにはあえて緊急に買い換える必要がないモノばかり。 ・モノが充足した成熟国家に住む私たちが欲しいと思うものは何だろう?私たちの生活インフラが充足されマズローの要求レベル3以上にいるとするなら、今後私たちは何を欲っし、何を世界に提供するのだろう?今までの技術と経験の蓄積、反省点すら資産のはずだ。世界には解決すべき問題が沢山ある。野口さんのいた「きぼう」から地球を眺める気分で視点を高く持ち上げ、世界を俯瞰してみれば、新しい課題が見えてくる。 ・インフラを必要とする国は沢山あり、私たちのインフラも改良していく必要がある。エネルギーシステム、交通システム、通信システム、水道システム。クリーンで環境負荷の低いもの、途上国では最高を最初からが望まれている。 ・モノが不要な成熟国でiPadが売れたのは大きなヒントだ。iPadはPCの起動の遅さという不便を解消するというよりは、ワイヤレスでくつろいだ姿勢でも使えるスタイル、直感的なインターフェースでストレスがなく使い方を夢想できる楽しさを与えてくれた。Appleが提供したのはiPadという美しいモノおよびソフトが選べるiTunesStoreというサービスがセットになったexperienceだ。開発環境と課金プラットホームで開発者を取り込むエコシステムも作った。電子書籍に関する議論が日本中で巻き起こり、私の姪(中1)の学習スタイルを変えた。技術的にはタッチパネルを全面利用した程度で大きな発展はないのに、私たちのスタイルを変化させるinnovativeな製品だった。 ・世界には問題が沢山あり、気づいていない何かを解決できるなら、成熟国でもニーズは作れる。洞察力が足りないのか?気づいて提案し実現し改良すればよい。なぜ踏み出せないのだろう?やはり日本に今足りないのはグローバル時代のリーダーシップだけのような気がする。 […]

  5. […] ・日本はもう成熟国になった。かつてのような大きな成長は望めない。それは他の西側先進国もおそらく同様だ。 ・日本の成長を支えたものづくりは熟練した職人工にあったのは事実。それは手先が器用でまじめな日本人の特性であり、他の国に対する大きな差別化ポイントだと思っていたけど、そうではなかった。日本人だろうと何人だろうと、人はまじめに取り組めば技能を習熟していくものだ。フラット化してしまった世界の中でモノ作りで暮らすには、技以外のプラスαが必要なのだろう。 ・GDP(≒国内でのモノの生産や消費)が伸びないからといって不幸なわけではない。むしろモノもインフラも既に充足していて幸せに感じる(少なくとも大きな不便は感じない)のは成熟国家ならでは。 ・一方で、高度経済成長期の日本がそうであったように、中国やインドのようなGDP成長国を見ていると、彼らの消費は先進国として生きるための消費に見える。そう、マズローの要求レベル2のレイヤーにいる人達のようだ。洗濯機、冷蔵庫、エアコン、携帯、車、人よりも美しく着飾るモノを彼らは欲している。成熟国に住む私たちにはあえて緊急に買い換える必要がないモノばかり。 ・モノが充足した成熟国家に住む私たちが欲しいと思うものは何だろう?成熟国の生活インフラは充足されている。私たちがマズローの要求レベル3以上にいるとするなら、今後私たちは何を欲っし、何を世界に提供するのだろう?今までの技術と経験の蓄積、反省点すら資産のはずだ。世界には解決すべき問題が沢山ある。野口さんのいた「きぼう」から地球を眺める気分で視点を高く持ち上げ、世界を俯瞰してみれば、新しい課題が見えてくる。 ・インフラを必要とする国は沢山あり、私たちのインフラも改良していく必要がある。エネルギーシステム、交通システム、通信システム、水道システム。クリーンで環境負荷の低いもの、途上国は最高を最初から望むのだ。 ・不満もない、不便もないならば、あえて制限を加えてみるのもinnovationを起す手段の一つだろう。「最良のデザインは極度の制約の中で生まれる」by ティム・ブラウン(IDEO) ・モノが不要な成熟国でiPadが売れたのは大きなヒントだ。iPadはPCの起動の遅さという不便を解消するというよりは、ワイヤレスでくつろいだ姿勢でも使えるスタイル、直感的なインターフェースでストレスがなく使い方を夢想できる楽しさを与えてくれた。Appleが提供したのはiPadという美しいモノおよびソフトが選べるiTunesStoreというサービスがセットになったexperienceだ。開発環境と課金プラットホームで開発者を取り込むエコシステムも作った。電子書籍に関する議論が日本中で巻き起こり、私の姪(中1)の学習スタイルを変えた。技術的にはタッチパネルを全面利用した程度で大きな発展はないのに、私たちのスタイルを変化させるinnovativeな製品だった。 ・世界には問題が沢山あり、気づいていない何かを解決できるなら、成熟国でもニーズは作れる。洞察力が足りないのか?気づいて提案し実現し改良すればよい。なぜ踏み出せないのだろう?やはり日本に今足りないのはグローバル時代のリーダーシップだけのような気がする。 […]

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