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20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

   


「いま、手元に5ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」このつかみに負けて購入した本。スタンフォード大学起業家育成コースのエグゼクティブディレクター、ティナ・シーリングが著者。女性が著者で翻訳者(高遠裕子氏)も女性のためか、さらりと読みやすい仕上がりです。

どうやらスタンフォード大学は起業家育成の集中講義を工学部学生向けにやっているらしい。この点素晴らしいと思いました。

どんなに卓抜した技術開発を行っても、それを顧客が欲しいと思うタイミングで商品・サービスに仕上げて売らないと社会ではお話にならない。顧客心理、マーケットのニーズと変遷、製品・サービスのライフサイクルに関心を持つ理系の人が増えたら世の中はもう少し幸せになるのに、と思います。もっと言えば、ビジョンがあって皆を驚かすというパッションがあってリーダーシップがあれば。。「自分の研究開発が世界一」と聴く耳を持たない先生系、逆に自分の開発しているものの市場価値がわからないため鵜飼の鵜のように利用される技術者という構図はなくなって欲しいと思います。日本では理系向けに起業家育成コースを持つ学校はあるのでしょうか?

「手元に5ドル」のつかみ、私の答えは5ドルを使わず何か儲かることを考える(手っ取り早くならオークションかな)でした。5ドルというのは「利用できるのは自分自身」ということにきづかせるための仕掛けであり、実際に学生達も早々に5ドルに頼らず何らかのビジネスを考えて実践するのだそうです。

本書では、著者の講義でおきたこと、著者自身がインタビューした企業家の話、著者自身の体験など、多く交えて語られています。(スティーブ・ジョブスの有名なスピーチも引用されています。)実話ゆえ、随所に導き出されている珠玉の言葉に説得力が出ています。

●ガーデン・ロスコフ社CEOデビッド・ロスコフに、ティナ(著者)はトップリーダーとそのほかの人の違いについてたずねる
「トップに上り詰める人はそうでない人より精力的に働く。現在は富や人脈を親から受け継ぐ時代ではなく自力で成功をおさめる。つまり、成功を阻む最大の要因は自己規制。」

●リスクには5種類ある。身体的リスク、社会的リスク、感情のリスク、金銭リスク、知的リスク。自分がどのリスクを許容する/しづらいか分析すること。事業では想定しうるリスクが分析できたら大きなリスクをとるべき。

●相対評価(比較)はゼロサムを生む。誰かが負けるからこそ自分が勝てるという考え方は非生産的以外の何物でもない。最高のチーム・プレイヤーは他人を成功させるために労を惜しまない。

『常識やルールを疑うこと、自分に規制をかけず自分を許可すること、失敗を恐れず失敗から学ぶこと』を一貫して本書では主張しています。自由な発想が認められる、行動したことが賞賛されるのが日本とUSの大きな違いですね。本書では、やっかみの横並び文化を持っていた国としてブラジルの例をあげていますが現在では教育により是正されているそうです。

意外なところで「解説」も面白かったです。書いているのはイノヴェティカ・コンサルティング代表の三ツ松新氏。

どうやら三ツ松もバイオ系学問が専攻だったようで、経済の発展を生物成長の基本であるS字カーブになぞらえています。
S字カーブとは、資源(栄養素と場所)が限られた状態で生物が成長する(増える)様子を、時間と個体数を軸に描いたグラフです。生まれたては個体が増える(子供が生まれる)速度が遅いのですが、あるときから急激に直線状に増加をはじめます。しかし、栄養を食いつぶし、衰えた個体が増えて狭くなってしまった環境では成長が止まり、次第に個体は死滅(減少、滅亡)していく。

日本はまさに、年老いた個体だらけ資源をついつぶしてしまったS字カーブの頂上にいて、後は落ちるだけ。しかし、今までの厳しい環境に耐え抜く強い個体が自然界で生まれるのもS字カーブの頂上にいる現在の時期。つまり、悲観するのではなく、なにか今までとは異質な新しいことを始めてみようと。

諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によると、遺伝子的に日本人は「新奇探求傾向」よりも「損害回避傾向」が強いのだそうです。「新奇探求傾向」はドーパミン第四受容体の遺伝子内塩基の繰り返し数が多いと強まり、「損害回避傾向」はセロトニンが少ないと強まるのだとか。
「新奇探求傾向」は、日本人では7%、アメリカ人では40%。
「損害回避傾向」は、日本人では98%、アメリカ人では40%。
リスクはとらず、変化も冒険も好まない日本人、農耕民族だからでしょう。
なんだか日本人には先がないように思えますが、無理に一人で大きく挑戦をするのではなく、みんなで大きな冒険を行って一人当たりのリスクを減らすという方法を日本人にあった方法として提案されている点が面白いです。

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  1. ともちん より:

    20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義: 「いま、手元に5ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」このつかみに負けて購入した本。スタンフォード大学起業家育成コースの… http://bit.ly/dqdKLB

  2. […] 「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」も起業予備軍、スタートアップ向けの本で、Amazonで見るとこの2冊セットでお勧めされます。 […]

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