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「希望を捨てる勇気」その2

      2013/10/27


この本の「希望」とは、笑顔が似あう若者の希望ではありません。不況ネイティブな今の若者は、気の毒なほどに社会の抑圧的雰囲気を感じ取っています。しかし、年金満額支給で勝ち組といわれる60-65歳の団塊の世代は安泰が続くと信じており幸せそうに見えます(勝手な憶測。)そんな希望を捨てろと言いたい。

この本では半分近くを雇用環境による世代間格差について記述しています。
バブルがはじけ、大企業が不況のため新卒採用を削減したのは、奇しくも学力低下が進んだ団塊ジュニア世代からです。不況は一時的なものと思われていましたが、結局20年間続き、この間に正社員登用の違いによる世代間格差が生まれました。

著者の池田さんは1957年生まれ、NHK出身です。企業内の中高年余り「社内失業」にも言及し、原因を終身雇用制度と解雇規制にあると指摘しています。


(METI産業構造ビジョン概要より。2009年は社内失業率が13.9%あると指摘)

企業の若年層採用が進まないのは余った中高年のためだとこの本の中では結論づけていません。しかし、新卒採用が厳しさを増す昨今、中高年を解雇すれば新卒採用が進むという議論が見受けられます。これは本当でしょうか?

(上のグラフでは、社内失業率の高さは不景気と連動しており、転職市場が活発でないことと関係しているように見えます。)

池田さんが例に出しているのはNHKです。放送業界では、現場ディレクタークラスの30代がもっとも忙しいが、その後管理職になると現場を管理する必要以上の人員がおり、且つ、誰も辞めないため社内失業が多いとのこと。この構造は30代課長補佐クラスがもっとも忙しく、その後はポストが激減する(そのため天下り先を作る)官僚も同じです。

では、中高年を解雇すれば新卒採用は進むでしょうか?
放送局や官僚組織が必要としているのは即戦力。経験値の高い20代後半から30代を求めます。育成の余裕があるのなら、解雇した中高年の余剰分で新卒採用を増やすかも知れません。しかし、忙しい現場ですから、育成枠には限度があるでしょう。中高年の解雇は即戦力採用に向かうでしょう。

もう一つの例としてNTTを見てみます。


40代以降、特に50代以降が突出して人員が多く、非常にいびつな年齢構成です。これは1985年までNTTは公社であり、全国で人員を抱えていたことと関連します。50代以降の人は半公務員として採用された安定志向の人達のため転職も行わないという特殊事情があります。

仮にこの人達を解雇できたなら、新卒採用は増えるでしょうか?答えは否です。高齢の社員は、伝線技術者など技能職です。残念ながら彼らの技術は古くなっておりメンテナンス以外に活用ななく、今後消えていくもの、補充の必要はありません。(もちろん、技能職から営業職への配置転換も行われています)。古い技能者を解雇したところで新しい需要が増えて業績が上向きにならない限り、NTTのような斜陽産業では新卒採用は進まないでしょう。製造業を中心とした多くの日本大企業も同様な構造です。充足の必要がないスキルを持つ中高年が社内失業しているのです。

新卒採用の抑制も、一過性のものだったら多すぎる中高年のせいにできたでしょう。しかし、20年続いた不況で日本の産業が古くなり立ち行かなくなっているという根本的な問題が浮上しています。

経験者を採用し、それでも足りないときに未経験者(新卒)は採用されます。問題は中高年余りでも終身雇用でもない。新しい需要を生み出せない硬直した産業構造にあるのではないでしょうか?

モノ余りの時代だけど、自己を充足してくれる新しい価値があるものならば、既成のカテゴリーでも人は買い求める
新需要を創造するには、今までにない魅力的なものを創造するイノベーションが必要です。現状打破には、チャンレンジ精神あふれ、今までの常識にとらわれない柔軟な発想ができる若者にも期待したいところです。しかし、一部の優秀な人を除き若者が保守化してしまっている現在。学力体力ともに世界一だった日本の教育を破壊した日教組教育のせいだと言いたい。悔しくてなりません。

希望が生まれない限り、つづく。

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