心はいつもAirPucci (空元気でもいいから)

毎日がPucciを着ているような気分

the first 10 years of 21st century has past

      2013/10/27


21世紀最初の10年がもうすぐ終わる。いつの時代も変化は激しいけれど、この10年は変化のスピードが速く、誰もが影響を受けたように思う。変化の要因が複数あって一度にやってきたため、因果関係がわからない問題だらけだ。原因と結果が対でなく、複雑に絡み合っているため、なぜよくない状況に自分が陥ってしまったのか理解できずあきらめや絶望を抱く人も多い。

個人的には、2001年12月:中国のWTO加盟による市場開放を大きな変化要因と考えている。

日本の製造業が中国に転移することは見込まれていたが縫製や白物家電のアセンブリ等の比較的単純な労働にとどまり、日本は引き続き世界のハイテク工場であり好調な輸出を維持すると考えられていた。高度な生産技術が日本の資産であり習熟した日本の工員こそが生産すべきと考えられていたためだ。しかし、デフレによる価格低下圧力と中国人労働者の習熟スピードの速さにより、半導体も液晶も出ていった。

ハイテク工場まで流出するのは予想外だったけど、中国人の提供する安価な労働力により、国内から生産労働が出て行くことは中国WTO加盟時に明白だった。識者でなくても、ちょっと考えればわかることなのに、多くの人は中国の市場開放を民主化とでも勘違いするかのごとく歓迎した。

職を失うであろう工場労働者のために新たな職をあてがう必要があった。しかし、バブル崩壊以来続く不況で雇用環境はよくない。当時労働力不足だったのはITだ。規制緩和が行われた介護や起業も新しい労働受け入れ産業と期待された。工場労働者の転職はスキルチェンジを伴うので、100%支給の教育給付金制度が各方面で実施された。

この10年で製造業従事者の減少分、サービス産業従事者が増えている。しかしスキルチェンジも労働転移の調整もそんなにスムースに行くはずがない。美しい技を持つ人が職を失い、また、期間工の問題を生んだのはこの時代の悲劇だと思う。



(2000年と2005年の産業別就業者数比較。国勢調査より。建設業と製造業の減少を福祉・サービスが補っている、)

個人的にはハイテク品の生産が日本人には一番向いていると思う。地方には各メーカーの工場があり、地元の人が勤めていた。工業高校卒以外の人も工員となるが技能の取得が早く、品質は世界一。1980年代からの日本経済成長に大きく貢献した人達。失われたことが私は悔しくてならない。今でも涙が出るほどだ。

変わってしまったものは仕方がない。この10年を冷静に振り返り、今後どのような産業構造をとるべきなのか考える必要がある。
これからも日本は新しい産業で成長すべしと私は望んでいたけど、中国が日本を抜きGDP2位になったニュースを聞いてつき物が落ちた。

・日本はもう成熟国になった。かつてのような大きな成長は望めない。それは他の西側先進国もおそらく同様だ。
・日本の成長を支えたものづくりは熟練した職人工にあったのは事実。それは手先が器用でまじめな日本人の特性であり、他の国に対する大きな差別化ポイントだと思っていたけど、そうではなかった。日本人だろうと何人だろうと、人はまじめに取り組めば技能を習熟していくものだ。フラット化してしまった世界の中でモノ作りで暮らすには、技以外のプラスαが必要なのだろう。
・GDP(≒国内でのモノの生産や消費)が伸びないからといって不幸なわけではない。むしろモノもインフラも既に充足していて幸せに感じる(少なくとも大きな不便は感じない)のは成熟国家ならでは。
・一方で、高度経済成長期の日本がそうであったように、中国やインドのようなGDP成長国を見ていると、彼らの消費は先進国として生きるための消費に見える。そう、マズローの要求レベル2のレイヤーにいる人達のようだ。洗濯機、冷蔵庫、エアコン、携帯、車、人よりも美しく着飾るモノを彼らは欲している。成熟国に住む私たちにはあえて緊急に買い換える必要がないモノばかり。
・モノが充足した成熟国家に住む私たちが欲しいと思うものは何だろう?成熟国の生活インフラは充足されている。私たちがマズローの要求レベル3以上にいるとするなら、今後私たちは何を欲っし、何を世界に提供するのだろう?今までの技術と経験の蓄積、反省点すら資産のはずだ。世界には解決すべき問題が沢山ある。野口さんのいた「きぼう」から地球を眺める気分で視点を高く持ち上げ、世界を俯瞰してみれば、新しい課題が見えてくる。
・インフラを必要とする国は沢山あり、私たちのインフラも改良していく必要がある。エネルギーシステム、交通システム、通信システム、水道システム。クリーンで環境負荷の低いもの、途上国は最高を最初から望むのだ。
・不満もない、不便もないならば、あえて制限を加えてみるのもinnovationを起す手段の一つだろう。「最良のデザインは極度の制約の中で生まれる」by ティム・ブラウン(IDEO)
・モノが不要な成熟国でiPadが売れたのは大きなヒントだ。iPadはPCの起動の遅さという不便を解消するというよりは、ワイヤレスでくつろいだ姿勢でも使えるスタイル、直感的なインターフェースでストレスがなく使い方を夢想できる楽しさを与えてくれた。Appleが提供したのはiPadという美しいモノおよびソフトが選べるiTunesStoreというサービスがセットになったexperienceだ。開発環境と課金プラットホームで開発者を取り込むエコシステムも作った。電子書籍に関する議論が日本中で巻き起こり、私の姪(中1)の学習スタイルを変えた。技術的にはタッチパネルを全面利用した程度で大きな発展はないのに、私たちのスタイルを変化させるinnovativeな製品だった。
・世界には問題が沢山あり、気づいていない何かを解決できるなら、成熟国でもニーズは作れる。洞察力が足りないのか?気づいて提案し実現し改良すればよい。なぜ踏み出せないのだろう?やはり日本に今足りないのはグローバル時代のリーダーシップだけのような気がする。

 - 空元気な日々 , , ,

Comment

  1. ともちん より:

    成長国から成熟国になって、付加価値の高いモノやサービスなら売れるだろうけど、それで全ての人に仕事が有るかはわからない。いっそのこと未来都市ショーケース的に東京大改造計画して内需つくり出しちゃえば良いのに。メスを入れ続けて永遠に美しい東京を http://bit.ly/am3gtC

  2. Kaname Noto より:

    RT @tomochin1: 成長国から成熟国になって、付加価値の高いモノやサービスなら売れるだろうけど、それで全ての人に仕事が有るかはわからない。いっそのこと未来都市ショーケース的に東京大改造計画して内需つくり出しちゃえば良いのに。メスを入れ続けて永遠に美しい東京を http://bit.ly/am3gtC

  3. *冬 小花* より:

    RT @tomochin1: 成長国から成熟国になって、付加価値の高いモノやサービスなら売れるだろうけど、それで全ての人に仕事が有るかはわからない。いっそのこと未来都市ショーケース的に東京大改造計画して内需つくり出しちゃえば良いのに。メスを入れ続けて永遠に美しい東京を http://bit.ly/am3gtC

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