いまさらながら「フラガール」

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2006年公開の映画、ようやくDVDで見ました。テレビ放映も既にあったはず。。遅すぎる。。映画として見たかったというよりは、世の中の変化で閉塞的な環境に追い込まれた人達がどうやって希望を見つけたのか参考にしたかったのです。

舞台となった常磐炭鉱は1976年に閉山。今から3-40年前だ。意外と最近(100年以上くらい前のことだと思っていた)。

明治時代の殖産興業からエネルギー・製鉄業を支えた炭鉱は、現在は1箇所を除き閉山しているそうだ。新日鉄の八幡製鉄所跡地にできたスペースワールドは民事再生し、北海道の夕張炭鉱を擁した夕張市は市が財政破綻している。常磐炭鉱のレジャー産業への業態転換は石炭産業が斜陽化した1950年代後半に構想されたというから、着眼の速さに驚く。同時に、
・掘削で廃棄していた温泉湯を利用するという発想
・単なる温泉宿ではなくハワイアンを集客の目玉とする
・いずれ職を失う労働者の新しい受け入れ先とする
という、戦コンもびっくりのトリプルソリューション。何よりも、温泉湯という資源だけで(しかも炭鉱業では廃棄物扱い)、サービス業への大胆な業態変更を決断したのには驚く。今そんな計画をしたら労働組合の激しい抵抗でつぶされるだろう。全く違う職に挑むことは苦労の連続だったと思うけど、その後の八幡や夕張に比べて現在も職があり人々に喜ばれていることは常磐の人達にとって幸せに違いない(少なくとも不幸ではないと思う)。

当時の石炭業は輸入石炭の価格競争に負けるのと、エネルギー源が石油にシフトするのとで、斜陽が見えていたというのだから、あがなえない環境の変化に対する相当な悲壮感があったと思うけど、自ら変わることで希望を見出す人達が過去の日本にいて、しかも、それほど昔ではないという事実。前を向いて、自分から変わっていくこと・変化への対応を後手にしないことが大事なのはいつの時代でも同じだなあと感じました。

映画では、蒼井優ちゃん演じる炭鉱の娘が、街の将来を危惧する気持ちよりは、フラの先生に触発されて、反対する母と衝突するほどに強く「変わりたい」と主張する様子が印象的でした。東京からフラの先生として乗り込んだ立場から、炭鉱に生きる様々な立場の人々の反発を一身に浴び、それでもプロとしてのプライドは失わず、人との接し方を少しづつ改めていったフラの先生を演じる松雪泰子も人の情を感じさせてよいです。

フラガールスタンダード・エディション [DVD]
ハピネット・ピクチャーズ (2007-03-16)
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おすすめ度の平均: 4.5

5 松雪泰子の気っぷのよさとぐっとくる美しさが個人的には見所
5 みんな笑顔で働ける、そんな時代つくれるかも知んねー
5 何をしていいかわからない。
4 ベストキャスティング
4 「束縛からの開放」が観る者を元気づける。

マザーハウスのカバンを買いました。

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銀座に新しくお店ができるということで、行ってまいりました。場所は阪急モザイク(数寄屋橋阪急)の2F。

とあるSNS(mixiでもgreeでもありません)で、「すごい人がいる」と、マザーハウスの山口絵里子さんのお話を人づてでお伺いしたのは確か2006年。バングラデッシュに現地素材ジュートでできたバッグの製造工場を作り、途上国支援をscopeに入れた事業を行うとのことでした。

当時のジュートといえばズタ袋のイメージ、ゴツゴツしていて加工も難しそう。ファッションブランドで採用しているところはなく、イタリア郵便局で郵便を運ぶため使用していたジュート袋をリサイクルしたバッグが一部ではやっている程度でした。

SNSで回ってきた初期出荷(と思われる)製品の写真をみての印象は
「んー厳しい。正直デザインが。」
「ジュートは高級感が出ないのでこれが限界かも。高いから支援だけの気持ちでも買えない。レザーじゃだめなの?レザーだったら少しは高級感がでるのに。」というやり取りをSNSのお友達としていました。気持ちは素晴らしいけど、商業的には難しそうだな、、というのが私の印象でした。

それが、その後の目覚しい進展は皆様ご存知のとおり。

ジュートの野性味あふれる素材感は織が細やかとなり、難しいとされた染色にも成功して多色展開となり、とても満足いくものに。レザーのラインアップも追加になっていましたが、ゴワゴワのありがちな品質のものではなく、とっても柔らか。
縫製も目がそろっていて丈夫そうです。
何よりもデザイン。社長の山口絵里子さんご自身がデザインやバッグ制作の修行をメーカーでなさったそうです(それは正解だ)。

今使っているカバンが古くなってきたので、買い替えをずっと考えていたのだけど、選択肢は山ほどあって、とてもじゃないけど選べない。
「ブランド物じゃ飽きがくるしコスパが悪い。職人モノは良いけど重く使い勝手がイマイチ。ほどほどの素材感と価格でよくデザインされた製品は山ほどあるけど、バッグは頻繁に買い換えるものじゃないし、どうでもよいものを買うのもなあ」

というのが、
モノ余り成熟国に生きる消費者(私)の心理でした。

色々考えて、意義のある消費にたどり着いている。
マザーハウス副社長の山崎氏考察のとおり、でした。

・どうせ使うなら、使うお金の意義を考えたい
・モノを購入したときの満足感指標に、「正しい消費をしている」という項目が自分の中で追加されている

以上の2つがモノ余り時代をサバイバルしてきた自分のたどりついた先です。
ブランド物は論外となり、ほどほどの素材とコストで中国生産したものも選択肢から外れます。正しい消費なのか、その販売業者や生産者の行動が不透明だからです。

・何よりも、使い勝手とデザインがよいこと
この点で、こだわり職人モノで選択肢に残るものがありませんでした。

モノとして生産者の考えが明らかで、プロセスが公開されており、企業として信頼でき、ちょっとした社会貢献ができたかもという満足も与えてくれる。言うまでもなくモノのデザインや品質がとても良い。

私はマーケティングをするので、人をはめ込んでも自分ははまらない(笑)という自負があるのですが、見事にマザーハウスにはまってしまいました。

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5 自分を信じることの大切さ
5 圧倒的に
4 1歩踏み出す勇気を教わりました。
5 すごい人!!!
5 開発途上国への援助、真の意義を知る!

希望に生まれて欲しい

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昨日のはやぶさプロジェクトの成功は、久々に希望を感じる出来事でした。

私は理系ですが、科学技術は国力を担うと高校でも大学でも教えられました。国力というとすぐに軍事力と結びつける人もいるかと思いますが、私は国の総合力で世界をリードする力のことだと理解しています。

Wikiによると、国力の要素として以下5つをあげています。
・自然
・国民
・軍事力
・経済力
・技術力

上の5つだと、技術力は産業を隆盛して経済を活発にするためにも、軍事力強化のためにも必要だと平たく理解してしまいそうですね。

外務省の「チャレンジ2001-21世紀に向けた日本外交の課題」(1999年)によれば、国力とは、軍事力、経済力、技術力、文化などさまざまな要素から成り立ち、世界標準となりうる仕組みを「構想する力」だという。

大和総研 常務理事チーフエコノミスト 原田 泰氏
第29回「『人口減少による国力』停滞、心配に及ばず」(2005/09/15)
上記は人口減少が国力に与える影響を考察した内容です。今回少子化問題はおいといて、外務省の国力定義
『世界標準となりうる仕組みを「構想する力」』
というのが、しっくりくるなと思ったのでした。

世界への『お手本力』といってもいいのかな。世界標準となりうる仕組みを「構想する力と実現する力」
にすれば完璧ですね。

今回のはやぶさプロジェクトの成功は、
・少予算でのプロジェクト組み立て(複数課題の組み合わせ、それによる専攻混載プロジェクト運営とチームワーク)
・それに伴う技術チャレンジ(イオンエンジン、スイングバイ航法など)
・未開拓分野取り組みによる知見獲得と次なる課題発見

などをもたらしました。今後、いろんな国が技術を高めて新しい課題に挑戦していくと思いますが、宇宙探索の分野では”はやぶさ”プロジェクトが世界のお手本であり憧れとなるのでしょう。(ここで安心しては駄目で、先の先へチャレンジする必要があるのですが、現状は予算が最大課題のようです)

この分野にあこがれる世界中の若い人に夢を与えてたらいいなあ。日本で学びたいと思う優秀な人も出てくるとうれしい。
多くの人に、憧れ好ましいと思ってもらえることはよいことだと思います。希望を持った優秀な人を呼び込み歓迎できる国であってほしい。

課題に挑む意思。解決できると信じる心。成果を社会で役立てる能力。理解を広める力と存在感
科学者の未知へ挑む姿勢そのものが、世の中の希望の一つだと思う。

もっと未来へ投資してほしい。少子化問題も高齢化問題も、食料もエネルギー問題も、課題を発見し解法をもとめ未開の地へ進むベクトルが希望なのだと思う。

「志高く」孫さんの自伝その3

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「なんて美しいんだ」震えるほど思ったもの。孫さんが情報通信の世界でビジネスをすることを決めたきっかけらしい。

1974年の春、「ポピュラーエレクトロニクス」誌に掲載されたインテルのコンピューターチップ、i8080 の拡大写真。七色に輝いてとても美しく、雑誌から切り取って毎日持ち歩いていたそう。

この頃ビルゲイツらもコンピューター時代の到来を確信して大学を中退し会社設立。

業をなす志があり、若くして留学し、コンピューター時代黎明期に居合わせ、「美しい」と感じる根源的な力でフォーカスが定まったこと。情報産業の幕開けという大きな時代の始まりに居合わせたことは孫さんのラッキーですが、1974年当時、コンピューターがどれほどのものになるか、ほとんどの人がわかっていなかったでしょう。孫さんもゲイツも、そしてジョブスも、直感で「これだ」と感じ取っているようなので、これも能力の一つなのでしょうね。

日本に戻って孫さんはソフトバンク社を設立しますが、Yahooの出資あたりまで、つまりインターネットサービスが隆盛してくる頃まで、正直何をやっている会社なのか私にはよくわかりませんでした。
本の中でも、情報産業にフォーカスしているものの、いろんなことに挑戦しながら事業を形作っている、走りながら考えている感じです。
この間、生死に関わるような大きな病気もなさっています。

コンピューター雑誌の販売とソフトウェアの流通が主な事業だった会社が、
Yahooへの出資、BB事業の開始、そしてヴォーダフォンの買収。

孫さんいれて社員3人の時代、みかん箱ならぬりんご箱の上で毎日
「売上げ高、5年で100億、10年で500億」
「いずれは売上高は豆腐のように、一丁(兆)、2丁(兆)と数えたい」
と演説したことが本当になっている。

ダークファイバー開放でガソリンは頭からかぶらなかったけど、総務省の役員にライターを借りたという話は本当のようだ。鬼気迫る。
当時私もADSLでインターネット通信がしたくてたまらなかったので、NTTの回線開放は本当にうれしかった。

孫さんて留学したばかりの語学学校で知り合った2歳年上の人を好きになってそのまま21歳のときに結婚しています。こっちも決断が早い。

「もっとも重要な3つのこと。1番目が志と理念。2番目がビジョン。3番目が戦略。」

物まね&改良と量産化が得意だけど新規性あるものは生み出していなかったJapan as No1時代。ビジョンどころか、戦略ももっていなかった。志と理念とかはどうなんだろう?
父に聞いても皆一生懸命で必死だったと言われるに違いない。

iPad発売もNTTからと憶測が飛んでいたのをソフトバンクからにひっくり返した孫さん。ジョブスのような海外の要人とダイレクトコンタクトができるのもフラット化した時代のリーダーに必要な能力

力いっぱい生きていてうらやましいなあと思いました。

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「志高く」孫さんの自伝その2

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孫さんは1957年生まれ。大変貧乏な子供時代だったそうだが、貧乏を悪いことと考えず、両親と祖母が懸命に働いていた様子、また、貧乏を世の中のせいや景気のせいにしていない様子が本の中では伺えます。決して卑屈にならない。むしろ明るい。これは持って生まれた性格なのでしょうか?
(iTunesストアへ。)
日本で在日韓国人3世として生まれた孫さん(結婚により日本国籍取得、その顛末も書かれています)。子供時代に出自を理由に虐められたこと、日本では頑張っても認められないだろうことを早々に理解し、しかし、バネにしている。きっかけの善し悪しはここではさておき、早くから自分の人生と活かし方について深く考えることになったのだと思います。1973年の高校1年生の夏、孫さんは久留米大学附設高校1年のときアメリカに語学研修にわたる。このときのアメリカの自由闊達な文化にふれ1974年2月高校1年の終わりにとうとう留学してしまう。

うらやましい。

留学の決断に迷いがまったくないのですが、それを理解しバックアップする家族、先生。自分の進路を決めるにあたり、故・藤田田氏に単身で面会を求め「私が若ければコンピューターに関連したビジネスをやると思う」というアドバイスを高校生のときにもらっている。真剣さゆえの行動力。

留学先の高校の授業のレベルが低いと感じ、飛び級を早速申し入れ。さらなる飛び級を申し入れ。あっという間に高校4年生(4年制高校のため)になってしまうが、それでも飽き足らず大学検定試験を受けて合格してしまう。1974年10月。この勉強の仕方といったらすさまじい。やや無謀とも思える目標、決めてしまったら達成する強い意志と集中力。これももって生まれた資質でしょうか。

1975年9月、日本でなら高校3年生の秋に孫さんはホリーネームズカレッジに入学。大学生になっても猛勉強はさらに続き、大学3年生のときにUCB経済学部に編入する。

この時点で、凡庸な人の一生分はゆうに超える努力をしているのではないか?と思えるほど凄まじい。

既に実業家を志していた孫さんは、ホリーネームズカレッジ在学中は食堂ビジネスを、UCB在学中は、ポータブル音声翻訳機を発明し、シャープとの契約までこぎつけている(その後、シャープが商品を発売したのは私も覚えている。そのプロトタイプ、特許が孫さんのものだったとは。)

何かを成し遂げる人には根源的な体験があると私は思っているのだけど、やはり孫さんにもそれがありました。

つづく。

「志高く」孫さんの自伝その1

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孫さんの自伝「志高く」は、2004年に発行後、2008年に再発行されたもの。ソフトバンク社は2006年にボーダーフォン買収という大きな決断をしている。その経緯も再取材で書き加えられている。
(iTunesストアへ。)

”「デジタル情報革命」前夜”とされた前書きが孫さんによって新しく書かれている。GWに読んだときは前書き飛ばしてしまったので実は今読んだけど、これだけでも興味深い。概要はこうだ。

『トランジスタ数集積率の向上速度を今から十数年前に計算してみたが、現在ほぼそのとおりになっている。
コンピューター中のワンチップ中トランジスタ数が人間の脳細胞数(300億個)を超えるのが2018年。そこからさらに増え、30年後には現在の100万倍になる計算だ。人間の脳細胞数をはるかに超える能力がワンチップに入る。携帯電話の中にスポッと入る。つまり「デジタル情報革命は」始まったばかり。今から100万倍になる。

孫さんは1990年初めごろにこのような計算をし、果てしなく力を得る情報技術世界の未来を思い描いていたのだ。

私はその頃何をしていたかな。
香港やシンガポールにできた海外子会社の人たちと必死にシステム開発していました。日本のフロントに立って海外と渡り合う夢がかなって楽しい時期でした。同じ年齢の現地の人たちと一緒に仕事するのは本当に楽しかった。でも、初等教育から英語だった彼らに、自国言語を尊重しない民族意識の欠落のような違和感を感じると同時に、教育に力を入れている彼らとの横並びの日がいつかくるかもしれないという恐れを感じていた。
多くの日本人はバブルの余韻にまだ浮かれていた頃だと思う。
このまま楽しくいけると根拠なく思っていた人は沢山いたように感じる。けれども、未来への大きな夢を描いている人はどれだけいたのかわからない。

孫さんの1月のtweetを思い出した。



「光の道」対談にもでてきた日本全国光ファイバー自論も、弱いとされているソフトバンクモバイルのインフラ強化のためと見る向きもある。
けれども、2025年頃には2010年の100万倍のコンピューティングパワーの世界になると1990年代に予見していた人ならば、「そんなセコイ理由じゃない」と主張していた孫さんの気持ちが理解できる。

光の道対談にあった、真剣さは本当に未来を想い未来に向かう今に生きる人のことを考えた思いだったのだと。

「男は賢いばかりじゃダメなんです。 愚直なまでに掘り下げていかないと男は大きくなれん。」

大きく物事を捉え、遥か未来のあるべき姿を見、まい進する。力強いリーダーシップで。

なぜそのような人物になるのだろう。

つづく。




ちなみに、私の答え。結構なさけない。。

「志高く」孫さんの自伝その0

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孫さんの自伝を読みました。「志高く」電子書籍をiPhoneで。
(iTunesストアへ。)

子供をグローバル時代に活躍する人に育てたいと思っている親御さん、そうなりたいと思っている若い人にはぜひ読んでいただきたいです。大学生は必読。現在の日本の状況が面白くないと思っている中高年にも読んでいただきたいです。
子育て世代のお母さんもぜひ。今までの常識のいくつかはくだらないものとなって吹きとびますよ。

電子書籍でGW中に旅しながら読了。あまりの内容のすごさ、すなわち、孫さんの生き様に圧倒され、レビューが今頃に。内容盛りだくさんなので何回かにわけて書きたいです。

そもそも、まだ生きている人の自伝を読んだのは何年ぶりでしょう?。確か中学生の頃。武満徹さんの自伝を読んで以来です。当時はご存命で、現在の初台オペラシティの構想が描かれていたことを強く覚えています。美しい音楽だけでなく、夢のあるものを残すため色々考えてくださっていることがうれしく思いました。初台オペラシティは日本の中で一番大好きなホールです。

存命中の人で、自伝といえるほど内容の濃い本はなかなか思い当たらない。(現在は故人ですが)武満徹さん、小澤征司さん。そして孫さん。共通するのは、今までの常識をものともせず世界に打ってでているところでしょう。

この本を読むまで、孫さんについて私が伝聞で知っていたことといえば

●社員3名時代にみかん箱の上に乗ってソフトバンクは「世界一の会社になる」と演説したという伝説
→伝聞で聞いた話なので、ついている尾ひれは「しょっている馬鹿だキ○ガイだ変人だ(常識はずれでやや侮蔑の意味を含む)」という類のもの。
●頭からガソリンをかぶり手にはライターを持って、ダークファイバー開放を郵政省(現在の総務省)へ直訴した
→これも伝聞で聞いた話なので、ついている尾ひれは「一人で役所を変えたキチ○イ変人」で、「利権の塊で梃子でも動かない役人(とそれにぶら下がっている半公務員数百万人)を変えるにはあそこまで頭がおかしくないとできない(凄すぎるという意味で尊敬の意味を含む)」というもの。

個人的な興味は、ソフトバンクという雑誌社が、どういう曲折で通信インフラ会社になったのかというところに興味はありました。正直、この2つの伝聞以外に孫さんについて知っていることは無かったし、あまり興味も無かった。

かなり凄かったです。孫さんが在日韓国人3世として生まれたというバックグランドを除いても、常識をはるかにしのぐ、方法、発想、行動力、エネルギー。間違いなく、”世界がフラット化してしまった新時代の” リーダーシップを持つ数少ない人ですし、それがどう育まれるのか教えてくれます。

常識は社会生活をスムースにしてくれる便利なプロトコルですが、ともすれば凡庸な人のための相互監視システムになってしまいます。
自分の子供時代の希望を思い出してみると、常識が味方してくれないことが多かった。それが時折悔しいと思う。

これからの人は新時代の生き様を探って欲しいし、これからの人を支える環境にいる人には旧時代の常識でこれからの人を阻害しないで欲しい。電子書籍ならすぐに読めるし、お手ごろ価格(350円)ででているので、一度読んでいただきたいです。

レビューは続く。

電子書籍の衝撃

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iPadの予約、孫さんと佐々木さんの光の道対談を経た今、ようやく佐々木俊尚さんの『電子書籍の衝撃』の感想です。
Twitter上で、『電子書籍の衝撃』が電子本で110円で買えるという情報につられ、すかさずダウンロードして読みました。発熱と喉の痛みが酷い風邪にかかっていて寝込んでいたときでした。

電子本をダウンロードする体験自体が初めて。手順に戸惑いましたが、

Discover21社のビューワーをiPhoneにダウンロードし、Discover21社のオンラインショップにて本を購入すると、iPhoneのDiscover21ビューワー上に本が現れるという仕組みでした。
(現在は単体書籍アプリとしてもダウンロードできるようです)

熱で苦しんでいましたが、ノートPCを使い横になった状態で本が買えて、あっという間に読めるようになったことにびっくり。iPhoneに立ち上がった初めての電子本にわくわくしました。

紙の色を模したようなクリーム色の背景にきれいなフォントの印字は視認性がよく落ち着きがあって読みやすい。iPhoneのフリッカー操作と本アプリは相性ぴったりで、指でパラパラとページをすばやくめくれる。iPhoneを片手に持ち、持った手の指でページめくりできるので、病床でも苦にならず読め、あっという間に読了しました。佐々木さんのいう「本のアンビエント化(いつでも、空気のように存在している、、)」を体験してしまったのです。

電子書籍の衝撃を電子本という形で初体験できたこと、その仕掛けの上手さにやられてしまいました。なんでも、ダウンロード初日はシステムトラブルに見舞われ大変だったとか。前向きに乗り越えられた関係者の様子がTogetterの佐々木俊尚さん「電子書籍の衝撃」ダウンロード販売でサーバーダウンでまとめられています。

さて、本の内容ですが、
まずは第4章で本をめぐる出版社と出版取次ぎの関係を明らかにしたことが本書の大きな意義でしょう。実は電子書籍化の動きは日本では大変長く、10年以上も検討が行われています。にも関わらず電子本の流通が行われていなかったのは、著作権に関する関係者の利権問題が解決できなかったことと、中抜きができない出版業界事情があり、誰も解決できなかった(リーダーシップを発揮して大鉈を振るうことができない)のです。

本を印刷するだけならば50-100万円でできるのですが、出版社が本を「ニセ金」的に取り次ぎへ供託している古い慣習があるため、無名な個人では出版社も編集者も着けることができず、仮についても取次ぎ側で拒否され、市場に流通させることができない。現在のレガシーな出版システムでは、著者は内容の是非すら市場へ気軽に問うことができないというハードルの高さがあります。

黒船AppleのiPhone/iPadやAmazon Kindleが実現した電子本流通の仕組みは、誰でも著者になり電子本を流通させることができます。佐々木さんは、セルフパブリッシング時代には著者と編集者/出版社とのかかわりも変化し、元来出版社が担っていたプロモーションも、ソーシャルの力で変わっていくことを指摘しています。
確かに、誰でもブログを書くことができるように、ある程度まとまったボリュームの文章を電子本の形にすることはできるでしょう。その内容が有益かどうか、今までは出版社のマーケティングがないと本の存在を知ることは難しかったのが、Amazonの書評やTwitterの伝播性で、誰かにとって有益なものならば評価され広まって行くようになると思います。出版社=編集者のような小さな形で著者のエージェントとなり、力のある著者ならば書く内容に応じてエージェントを選ぶような時代になっていくのかも知れませんね。

紙の本がなくなるとは思えませんが、印刷にどうしてもコストがかかる写真を多様する料理本や旅行ガイドのようなものは、コストの安い電子本にぴったりだなと思います。

iPad予約が始まり、もうすぐ日本でも発売されようとする今、電子本の形はトラディショナルなテキストベースのページめくりモノだけでなく、アクセスのしやすさとカラフルさ、動画や音楽などのマルチメディア性、ネット接続によるアップデートのしやすさを統合した新しい形態のコンテンツが出てくるのではないかと期待しています。

佐々木さんの『電子書籍の衝撃』は電子本というスタイルが出版業界だけでなく、私たちの読書スタイルや本という情報の消費変化について示唆し考える機会をいち早く与えてくれました。

電子本のプラットホームがどうやら日本製ではなくなりそうなのは残念には思いますが、出版業界を変えるようなリーダーシップを誰も発揮できなかったのですから仕方がありません。それよりも、誰でもコンテンツで勝負できるいい時代がきたなと思っています。

この20年間欠如していたもの

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2010年4月12日日本武道館に於ける東京大学大学院入学式での祝辞。 小林久志氏

ブログを色々見ていて、本日心に残ったのがこちらのページです。
小林久志氏のご経歴は技術系の教授としてはかなり華麗だと思われます。

東芝勤務を経てプリンストン大学大学院留学、その後の研究活動は

  • ニューヨーク州IBM中央研究所
  • UCLA システム科学科客員助教授 IBM研究所
  • ハワイ大学客員教授
  • スタンフォード大学電気工学科客員教授
  • 西独ダームシュタット工科大学客員教授
  • ベルギー、ブラッセル大学計算科学科国際教授
  • (現IBM東京基礎研究所) 初代研究所長
  • プリンストン大学シャーマン・フェアチャイルド栄誉教授 (電気工学科兼コンピュータ・サイエンス学科)
  • 東京大学先端研客員教授(NEC C&C 講座教授)
  • ドイツ・ダームシュタット工科大学客員教授(フンボルト財団短期訪問プログラム)
  • カナダ・ヴィクトリア大学客員教授 (ブリティッシュ・コロンビア州客員フェロー)
  • 独立法人情報通信研究機構(東京都小金井市)特級研究員(非常勤)

以上抜粋ですが、複数国の有名大学および有力企業で教授、研究をされています。

そのような方が日本の現状について問題提示。
戦後30年で日本が奇跡的な経済産業発展を遂げたにもかかわらず、その後の20年は停滞状況にあり、

  • 世界の先進国の中でも経済成長率が一番低い状態
  • 情報産業、特にソフトウエアなどの分野では米国に大きく差を付けられ
  • 日本が得意であった製造業や素材産業でも台湾、韓国、中国に追い付かれ
  • 或る分野では追い越されている

以上のような状況であること。その理由として、

リーダーシップの欠如』を指摘されています。

グロービスの堀義人氏も、日本に足りないのはリーダーシップだけだとtwitterなどで指摘されており、まったく同感なのですが、なぜリーダーシップが足りないのか?という次なる疑問が湧き上がります。民族性なのでしょうか?教育が足りないだけでしょうか?経済発展し満足しきったため成長欲が薄れたからでしょうか?

小林氏は、

「我が国のリーダー達の多くが、残念ながら力量不足で、今日のグローバルな世界で競争する為に必要な知識、洞察力、英語能力に欠けていることが大きな要因」

と、氏ならではのグローバルで一流な人脈による知見を経ても、一般的に理解されていることを原因として挙げていますが、その背景として、

  • インターネットの拡大と工業製品のデイジタル化
  • 新興工業国(工業品の生産拠点)としてのアジア諸国(中国、マレーシア)やインドの台頭

2つの要因によりパラダイムシフトが起きている。つまり、製品開発、設計、製造から販売までの流れが、20年前とは異なった、グローバル・ビジネス展開になっている。
日本は、生産拠点を海外に移すなどしているものの、生産や雇用調整、コスト管理の都合上にすぎない面がある。

日本の経営陣と彼らのスタッフの中に、国際的に活躍した経験や、諸外国のリーダー達との人的繋がりを持ち、直接コミュニケート出来る人材の少ない

これが

我が国が苦境に立たされている、大きな要因

と、多くの日本人が気づけない、根本的な原因を指摘なさっています。

足りないのは、
”世界がフラット化してしまった新時代の” リーダーシップなのです。

戦後の経済発展を支えたのは、自動車にしろ、電気製品にしろ、
圧倒的な技術力による製品でした。圧倒的な技術力は日本人の勤勉さによるものですが、その奇跡的な高品質は、マーケティングや販売戦略が多少手薄でも、多くの人々に熱狂的に受け入れられるものでした。
シーズ指向、現場からのプロダクトアウトで勝てた時代だったのです。

戦略なきビジネスとマーケティングなき製品開発に加え、品質を追求するあまりの日本独自仕様化。

iPadやKindleが上陸し、電子本の時代がいよいよ来るという今なのに、
「日本独自仕様で電子本の流通をすべき」と多くの人があるフォーラムで語っていました。年齢は60代が多いように見受けられました。

電子本に向けての検討が始まったのは確か1995年頃。もう10年以上も取り組んでいて、まだ成果をだせていないのです。それなのに、こだわりを貫きたいおじさん達。

彼らだって、若い頃は、世界に打って出るチャレンジャーだったでしょう?
その気持ちは今でもあるでしょう。こだわりある製品で、iPadやらKindleやらに勝ちたいでしょう。

でも、勝ちパターンがもう違ってきているのです。
圧倒的な技術力と製品だけでは、勝てない。むしろ高specすぎてtoo muchだったり、機能を追及するあまりtoo lateだったり。
そのことに気づけない悲劇は世代のせいでしょうか?そして、残念なことに若者は数で彼らに負ける。

Appleの利益を3年前の倍にし、利益の半分を誇るiPhoneは、部材は韓国製、生産は中国です。では、ビジョンを生み出し貫き通したのは誰でしょう?(ジョブズです。)
小林久志氏のようなご指摘は戦後30年の経済成長を若い頃に経験した世代には通用しないでしょう。

上の世代は、時代が変わっているのに彼らの青春で生きつづける。ならば無視して、私たちは自分たちで世界に打ってでる。ビジョンを生み出し貫きとおせる人がいればいい。時代は変わってしまっている。

Amebloやってます