2010年6月6日
「なんて美しいんだ」震えるほど思ったもの。孫さんが情報通信の世界でビジネスをすることを決めたきっかけらしい。
1974年の春、「ポピュラーエレクトロニクス」誌に掲載されたインテルのコンピューターチップ、i8080 の拡大写真。七色に輝いてとても美しく、雑誌から切り取って毎日持ち歩いていたそう。
この頃ビルゲイツらもコンピューター時代の到来を確信して大学を中退し会社設立。
業をなす志があり、若くして留学し、コンピューター時代黎明期に居合わせ、「美しい」と感じる根源的な力でフォーカスが定まったこと。情報産業の幕開けという大きな時代の始まりに居合わせたことは孫さんのラッキーですが、1974年当時、コンピューターがどれほどのものになるか、ほとんどの人がわかっていなかったでしょう。孫さんもゲイツも、そしてジョブスも、直感で「これだ」と感じ取っているようなので、これも能力の一つなのでしょうね。
日本に戻って孫さんはソフトバンク社を設立しますが、Yahooの出資あたりまで、つまりインターネットサービスが隆盛してくる頃まで、正直何をやっている会社なのか私にはよくわかりませんでした。
本の中でも、情報産業にフォーカスしているものの、いろんなことに挑戦しながら事業を形作っている、走りながら考えている感じです。
この間、生死に関わるような大きな病気もなさっています。
コンピューター雑誌の販売とソフトウェアの流通が主な事業だった会社が、
Yahooへの出資、BB事業の開始、そしてヴォーダフォンの買収。
孫さんいれて社員3人の時代、みかん箱ならぬりんご箱の上で毎日
「売上げ高、5年で100億、10年で500億」
「いずれは売上高は豆腐のように、一丁(兆)、2丁(兆)と数えたい」
と演説したことが本当になっている。
ダークファイバー開放でガソリンは頭からかぶらなかったけど、総務省の役員にライターを借りたという話は本当のようだ。鬼気迫る。
当時私もADSLでインターネット通信がしたくてたまらなかったので、NTTの回線開放は本当にうれしかった。
孫さんて留学したばかりの語学学校で知り合った2歳年上の人を好きになってそのまま21歳のときに結婚しています。こっちも決断が早い。
「もっとも重要な3つのこと。1番目が志と理念。2番目がビジョン。3番目が戦略。」
物まね&改良と量産化が得意だけど新規性あるものは生み出していなかったJapan as No1時代。ビジョンどころか、戦略ももっていなかった。志と理念とかはどうなんだろう?
父に聞いても皆一生懸命で必死だったと言われるに違いない。
iPad発売もNTTからと憶測が飛んでいたのをソフトバンクからにひっくり返した孫さん。ジョブスのような海外の要人とダイレクトコンタクトができるのもフラット化した時代のリーダーに必要な能力。
力いっぱい生きていてうらやましいなあと思いました。

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2010年6月5日
孫さんは1957年生まれ。大変貧乏な子供時代だったそうだが、貧乏を悪いことと考えず、両親と祖母が懸命に働いていた様子、また、貧乏を世の中のせいや景気のせいにしていない様子が本の中では伺えます。決して卑屈にならない。むしろ明るい。これは持って生まれた性格なのでしょうか?

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日本で在日韓国人3世として生まれた孫さん(結婚により日本国籍取得、その顛末も書かれています)。子供時代に出自を理由に虐められたこと、日本では頑張っても認められないだろうことを早々に理解し、しかし、バネにしている。きっかけの善し悪しはここではさておき、早くから自分の人生と活かし方について深く考えることになったのだと思います。1973年の高校1年生の夏、孫さんは久留米大学附設高校1年のときアメリカに語学研修にわたる。このときのアメリカの自由闊達な文化にふれ1974年2月高校1年の終わりにとうとう留学してしまう。
うらやましい。
留学の決断に迷いがまったくないのですが、それを理解しバックアップする家族、先生。自分の進路を決めるにあたり、故・藤田田氏に単身で面会を求め「私が若ければコンピューターに関連したビジネスをやると思う」というアドバイスを高校生のときにもらっている。真剣さゆえの行動力。
留学先の高校の授業のレベルが低いと感じ、飛び級を早速申し入れ。さらなる飛び級を申し入れ。あっという間に高校4年生(4年制高校のため)になってしまうが、それでも飽き足らず大学検定試験を受けて合格してしまう。1974年10月。この勉強の仕方といったらすさまじい。やや無謀とも思える目標、決めてしまったら達成する強い意志と集中力。これももって生まれた資質でしょうか。
1975年9月、日本でなら高校3年生の秋に孫さんはホリーネームズカレッジに入学。大学生になっても猛勉強はさらに続き、大学3年生のときにUCB経済学部に編入する。
この時点で、凡庸な人の一生分はゆうに超える努力をしているのではないか?と思えるほど凄まじい。
既に実業家を志していた孫さんは、ホリーネームズカレッジ在学中は食堂ビジネスを、UCB在学中は、ポータブル音声翻訳機を発明し、シャープとの契約までこぎつけている(その後、シャープが商品を発売したのは私も覚えている。そのプロトタイプ、特許が孫さんのものだったとは。)
何かを成し遂げる人には根源的な体験があると私は思っているのだけど、やはり孫さんにもそれがありました。
つづく。
2010年5月20日
「いま、手元に5ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」このつかみに負けて購入した本。スタンフォード大学起業家育成コースのエグゼクティブディレクター、ティナ・シーリングが著者。女性が著者で翻訳者(高遠裕子氏)も女性のためか、さらりと読みやすい仕上がりです。
どうやらスタンフォード大学は起業家育成の集中講義を工学部学生向けにやっているらしい。この点素晴らしいと思いました。
どんなに卓抜した技術開発を行っても、それを顧客が欲しいと思うタイミングで商品・サービスに仕上げて売らないと社会ではお話にならない。顧客心理、マーケットのニーズと変遷、製品・サービスのライフサイクルに関心を持つ理系の人が増えたら世の中はもう少し幸せになるのに、と思います。もっと言えば、ビジョンがあって皆を驚かすというパッションがあってリーダーシップがあれば。。「自分の研究開発が世界一」と聴く耳を持たない先生系、逆に自分の開発しているものの市場価値がわからないため鵜飼の鵜のように利用される技術者という構図はなくなって欲しいと思います。日本では理系向けに起業家育成コースを持つ学校はあるのでしょうか?
「手元に5ドル」のつかみ、私の答えは5ドルを使わず何か儲かることを考える(手っ取り早くならオークションかな)でした。5ドルというのは「利用できるのは自分自身」ということにきづかせるための仕掛けであり、実際に学生達も早々に5ドルに頼らず何らかのビジネスを考えて実践するのだそうです。
本書では、著者の講義でおきたこと、著者自身がインタビューした企業家の話、著者自身の体験など、多く交えて語られています。(スティーブ・ジョブスの有名なスピーチも引用されています。)実話ゆえ、随所に導き出されている珠玉の言葉に説得力が出ています。
●ガーデン・ロスコフ社CEOデビッド・ロスコフに、ティナ(著者)はトップリーダーとそのほかの人の違いについてたずねる
「トップに上り詰める人はそうでない人より精力的に働く。現在は富や人脈を親から受け継ぐ時代ではなく自力で成功をおさめる。つまり、成功を阻む最大の要因は自己規制。」
●リスクには5種類ある。身体的リスク、社会的リスク、感情のリスク、金銭リスク、知的リスク。自分がどのリスクを許容する/しづらいか分析すること。事業では想定しうるリスクが分析できたら大きなリスクをとるべき。
●相対評価(比較)はゼロサムを生む。誰かが負けるからこそ自分が勝てるという考え方は非生産的以外の何物でもない。最高のチーム・プレイヤーは他人を成功させるために労を惜しまない。
『常識やルールを疑うこと、自分に規制をかけず自分を許可すること、失敗を恐れず失敗から学ぶこと』を一貫して本書では主張しています。自由な発想が認められる、行動したことが賞賛されるのが日本とUSの大きな違いですね。本書では、やっかみの横並び文化を持っていた国としてブラジルの例をあげていますが現在では教育により是正されているそうです。
意外なところで「解説」も面白かったです。書いているのはイノヴェティカ・コンサルティング代表の三ツ松新氏。
どうやら三ツ松もバイオ系学問が専攻だったようで、経済の発展を生物成長の基本であるS字カーブになぞらえています。
S字カーブとは、資源(栄養素と場所)が限られた状態で生物が成長する(増える)様子を、時間と個体数を軸に描いたグラフです。生まれたては個体が増える(子供が生まれる)速度が遅いのですが、あるときから急激に直線状に増加をはじめます。しかし、栄養を食いつぶし、衰えた個体が増えて狭くなってしまった環境では成長が止まり、次第に個体は死滅(減少、滅亡)していく。

日本はまさに、年老いた個体だらけ資源をついつぶしてしまったS字カーブの頂上にいて、後は落ちるだけ。しかし、今までの厳しい環境に耐え抜く強い個体が自然界で生まれるのもS字カーブの頂上にいる現在の時期。つまり、悲観するのではなく、なにか今までとは異質な新しいことを始めてみようと。
諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によると、遺伝子的に日本人は「新奇探求傾向」よりも「損害回避傾向」が強いのだそうです。「新奇探求傾向」はドーパミン第四受容体の遺伝子内塩基の繰り返し数が多いと強まり、「損害回避傾向」はセロトニンが少ないと強まるのだとか。
「新奇探求傾向」は、日本人では7%、アメリカ人では40%。
「損害回避傾向」は、日本人では98%、アメリカ人では40%。
リスクはとらず、変化も冒険も好まない日本人、農耕民族だからでしょう。
なんだか日本人には先がないように思えますが、無理に一人で大きく挑戦をするのではなく、みんなで大きな冒険を行って一人当たりのリスクを減らすという方法を日本人にあった方法として提案されている点が面白いです。
2010年5月1日
本日旅先です。この辺りUQ Wimax繋がらないですが、毎日更新するのが目標なのでiPhoneを3G接続にして更新。今月末は8円請求超えるかも知れませんね。
さて、本日思いがけず皇太子様と愛子様がご利用なさる駅でおりたったのです。利用予定のバスは交通規制のため暫く停止したのですが、せっかくなので沿道のお出迎えに参列しました。
すると、50代と思われる男性が携帯電話で
「今駅に来たら皇太子見られる見られる」
と。
いったいそれはどういう言葉遣いなのででょう??
この方は勤務先の社長や取引先にもこのような言葉遣いなのででょう。
年齢を重ねていても尊敬できる人が少なくなっていると言われる昨今ですが、
我がふり直そうと思った出来事でした。
2010年4月22日
2010年4月12日日本武道館に於ける東京大学大学院入学式での祝辞。 小林久志氏
ブログを色々見ていて、本日心に残ったのがこちらのページです。
小林久志氏のご経歴は技術系の教授としてはかなり華麗だと思われます。
東芝勤務を経てプリンストン大学大学院留学、その後の研究活動は
- ニューヨーク州IBM中央研究所
- UCLA システム科学科客員助教授 IBM研究所
- ハワイ大学客員教授
- スタンフォード大学電気工学科客員教授
- 西独ダームシュタット工科大学客員教授
- ベルギー、ブラッセル大学計算科学科国際教授
- (現IBM東京基礎研究所) 初代研究所長
- プリンストン大学シャーマン・フェアチャイルド栄誉教授 (電気工学科兼コンピュータ・サイエンス学科)
- 東京大学先端研客員教授(NEC C&C 講座教授)
- ドイツ・ダームシュタット工科大学客員教授(フンボルト財団短期訪問プログラム)
- カナダ・ヴィクトリア大学客員教授 (ブリティッシュ・コロンビア州客員フェロー)
- 独立法人情報通信研究機構(東京都小金井市)特級研究員(非常勤)
以上抜粋ですが、複数国の有名大学および有力企業で教授、研究をされています。
そのような方が日本の現状について問題提示。
戦後30年で日本が奇跡的な経済産業発展を遂げたにもかかわらず、その後の20年は停滞状況にあり、
- 世界の先進国の中でも経済成長率が一番低い状態
- 情報産業、特にソフトウエアなどの分野では米国に大きく差を付けられ
- 日本が得意であった製造業や素材産業でも台湾、韓国、中国に追い付かれ
- 或る分野では追い越されている
以上のような状況であること。その理由として、
『リーダーシップの欠如』を指摘されています。
グロービスの堀義人氏も、日本に足りないのはリーダーシップだけだとtwitterなどで指摘されており、まったく同感なのですが、なぜリーダーシップが足りないのか?という次なる疑問が湧き上がります。民族性なのでしょうか?教育が足りないだけでしょうか?経済発展し満足しきったため成長欲が薄れたからでしょうか?
小林氏は、
「我が国のリーダー達の多くが、残念ながら力量不足で、今日のグローバルな世界で競争する為に必要な知識、洞察力、英語能力に欠けていることが大きな要因」
と、氏ならではのグローバルで一流な人脈による知見を経ても、一般的に理解されていることを原因として挙げていますが、その背景として、
- インターネットの拡大と工業製品のデイジタル化
- 新興工業国(工業品の生産拠点)としてのアジア諸国(中国、マレーシア)やインドの台頭
2つの要因によりパラダイムシフトが起きている。つまり、製品開発、設計、製造から販売までの流れが、20年前とは異なった、グローバル・ビジネス展開になっている。
日本は、生産拠点を海外に移すなどしているものの、生産や雇用調整、コスト管理の都合上にすぎない面がある。
日本の経営陣と彼らのスタッフの中に、国際的に活躍した経験や、諸外国のリーダー達との人的繋がりを持ち、直接コミュニケート出来る人材の少ない
これが
我が国が苦境に立たされている、大きな要因
と、多くの日本人が気づけない、根本的な原因を指摘なさっています。
足りないのは、
”世界がフラット化してしまった新時代の” リーダーシップなのです。
戦後の経済発展を支えたのは、自動車にしろ、電気製品にしろ、
圧倒的な技術力による製品でした。圧倒的な技術力は日本人の勤勉さによるものですが、その奇跡的な高品質は、マーケティングや販売戦略が多少手薄でも、多くの人々に熱狂的に受け入れられるものでした。
シーズ指向、現場からのプロダクトアウトで勝てた時代だったのです。
戦略なきビジネスとマーケティングなき製品開発に加え、品質を追求するあまりの日本独自仕様化。
iPadやKindleが上陸し、電子本の時代がいよいよ来るという今なのに、
「日本独自仕様で電子本の流通をすべき」と多くの人があるフォーラムで語っていました。年齢は60代が多いように見受けられました。
電子本に向けての検討が始まったのは確か1995年頃。もう10年以上も取り組んでいて、まだ成果をだせていないのです。それなのに、こだわりを貫きたいおじさん達。
彼らだって、若い頃は、世界に打って出るチャレンジャーだったでしょう?
その気持ちは今でもあるでしょう。こだわりある製品で、iPadやらKindleやらに勝ちたいでしょう。
でも、勝ちパターンがもう違ってきているのです。
圧倒的な技術力と製品だけでは、勝てない。むしろ高specすぎてtoo muchだったり、機能を追及するあまりtoo lateだったり。
そのことに気づけない悲劇は世代のせいでしょうか?そして、残念なことに若者は数で彼らに負ける。
Appleの利益を3年前の倍にし、利益の半分を誇るiPhoneは、部材は韓国製、生産は中国です。では、ビジョンを生み出し貫き通したのは誰でしょう?(ジョブズです。)
小林久志氏のようなご指摘は戦後30年の経済成長を若い頃に経験した世代には通用しないでしょう。
上の世代は、時代が変わっているのに彼らの青春で生きつづける。ならば無視して、私たちは自分たちで世界に打ってでる。ビジョンを生み出し貫きとおせる人がいればいい。時代は変わってしまっている。
